マンション理事会とは?役割・仕事と決めること
マンション理事会とは、総会で選ばれた理事で構成し、管理組合の業務を執行する機関です。理事・理事長の仕事や役員の決め方、総会との違い、理事会で決めてよいことと総会に回すことを、標準管理規約に沿って整理します。
この記事の要点
- 01理事会は総会で選ばれた理事で構成する執行機関
- 02理事長は理事会で理事の中から選び、組合を代表する
- 03予算にない支出や規約の変更は、原則として総会で
- 04決定は「誰が・いつまでに・どう知らせるか」まで
この記事の目次

マンション理事会とは:総会との違いと構成
マンションの理事会とは、管理組合の業務を実際に動かすための機関です。管理組合は区分所有者全員で構成されますが、全員が毎回集まって細かなことを決めるのは現実的ではありません。そこで、総会で選ばれた理事が理事会を構成し(標準管理規約51条1項)、日々の業務を担います。管理組合・管理会社・住民の関係の全体像はマンション管理とはで整理しています。
国土交通省の標準管理規約(令和7年10月改正)は、理事会の職務を、規約や総会の決議で理事会の権限とされた業務執行の決定、理事の職務執行の監督、理事長・副理事長・会計担当理事の選任と解任、の3つとしています(51条2項)。議長は理事長が務めます。
| 項目 | 総会 | 理事会 |
|---|---|---|
| 参加する人 | 組合員(区分所有者)全員 | 総会で選ばれた理事(監事も出席して意見を述べる) |
| 開く頻度 | 通常総会は毎年1回(42条3項)、必要に応じて臨時総会 | 理事長が招集(52条)。頻度は各組合の決め方による |
| 主な役割 | 予算・決算、規約、役員の選任など基本事項の決定 | 総会に出す案の作成と、任された範囲の業務執行 |
| 成立と決議 | 議決権総数の過半数の出席で成立、普通決議は出席組合員の議決権の過半数(47条) | 理事の半数以上の出席で成立、出席理事の過半数で決議(53条1項) |
理事の人数について、標準管理規約のコメントは、おおむね10〜15戸につき1名、最低3名程度から最高20名程度を参考に示しています。総会の準備と運営は総会の進め方と準備で扱っています。
理事の仕事、理事長の役割と役員の決め方
標準管理規約では、管理組合の役員として理事長、副理事長、会計担当理事、理事、監事を置きます(35条1項)。それぞれの主な仕事は次のとおりです。
- 理事
- 理事会を構成し、理事会の定めに従って業務を担当します(40条1項)。管理組合に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を見つけたときは、直ちに監事へ報告します(同2項)。
- 理事長
- 管理組合を代表し業務を統括します。区分所有法上の管理者でもあり、通常総会で前年度の業務の執行を報告し、定期的に理事会へ職務の執行状況を報告します(38条)。
- 会計担当理事
- 管理費等の収納・保管・運用・支出などの会計業務を行います(40条3項)。
- 監事
- 業務の執行と財産の状況を監査して総会に報告し、理事会に出席して必要なら意見を述べます(41条)。
役員はどう決まるのか
理事と監事は総会の決議で選任し(35条2項)、理事長・副理事長・会計担当理事は、理事会の決議で理事の中から選びます(同3項)。つまり「理事長を総会で直接選ぶ」のではなく、総会で理事を選び、その理事たちが理事長を決める二段階の仕組みです。任期はコメントで1〜2年が示され、業務の継続性を重視して半数ずつ入れ替える場合は任期を2年とする考え方も紹介されています。
総会に出す役員候補の決め方は、規約や細則で組合ごとに定めます。住戸の順番で回す輪番制、立候補や推薦、それらの組み合わせなどがあり、決め方そのものを細則にしておくと毎年の揉めごとを減らせます。
なり手がいないとき:外部専門家と管理業者管理者方式
国土交通省「令和5年度マンション総合調査」では、外部役員の選任を検討している、または将来必要なら検討したいマンションが34.6%でした。検討理由は区分所有者の高齢化(42.7%)と役員のなり手不足(42.3%)が上位です。
標準管理規約は、役員の資格要件を組合員に限らず、マンション管理士・弁護士・建築士などの外部専門家を理事や監事に選べる規定例を示しています(35条の「外部専門家を役員として選任できることとする場合」)。一方、管理会社が区分所有法上の管理者になる「管理業者管理者方式」(いわゆる第三者管理)は標準管理規約の想定外とされ、国交省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」(令和6年6月)が、導入の手順や通帳・印鑑の保管、利益相反への対応、監事による監督などの留意点を示しています。導入を検討する際は、マンション管理会社の業務との関係も含めて比べてください。
理事会が決められること、決められないこと
理事会は、管理組合の「なんでも決める場」ではありません。国土交通省の標準管理規約(令和7年10月改正)では、理事会の職務を、規約や総会の決議で理事会の権限とされた業務執行の決定、理事の職務執行の監督、理事長などの選任・解任、と定めています(51条2項)。言い換えると、権限の根拠がない事項は、理事会の多数で決めても効力に疑問が残ります。
総会の決議が必要な事項は、標準管理規約48条に並んでいます。規約の変更、役員の選任、決算・予算、長期修繕計画の作成や変更、管理費等の額、修繕積立金の取崩し、管理委託契約の締結などです。一方で理事会は、それらの「案」をつくる役割を持ちます(54条1項)。
| 項目 | 総会で決める(48条) | 理事会で決める(54条) |
|---|---|---|
| お金 | 収支予算・決算、管理費等の額、修繕積立金の取崩し | 予算案・決算案の作成、予算の範囲内での執行 |
| ルール | 規約・使用細則の制定・変更 | 改正案の作成 |
| 修繕 | 長期修繕計画の作成・変更、特別の管理(大規模修繕など) | 計画案の作成、専有部分の修繕等の承認(17条等) |
| 人と契約 | 役員の選任・解任、管理委託契約の締結 | 理事長等の選任、役員の利益相反取引の承認 |
| 緊急時 | ― | 災害等で総会が困難な場合の応急的な修繕工事など |
もう一つ見落としやすいのが、「総会から付託された事項」です(54条1項14号)。総会で「詳細は理事会に一任する」と決議した場合、その範囲は理事会で決められます。ただし一任された範囲がどこまでかは、議事録の文言で決まります。「工事の実施を承認し、施工会社の選定は理事会に一任する」なのか、「金額の上限を○円として一任する」なのかで、理事会の裁量は大きく変わります。
表はあくまで標準管理規約の整理です。自分のマンションの規約が標準管理規約と違う書き方をしていることは珍しくありません。「前の理事会もこうしていた」は根拠になりません。議題に上げる前に、どの条文に基づいて決めるのかを管理会社に確認する習慣を持ちましょう。
理事会でお金を決めるとき:予算の内か外か
理事会で最も判断に迷うのは、お金の話です。総会で承認された予算と事業計画の範囲内なら、執行の具体的な中身(どの業者に、いつ頼むか)は理事会で決められるのが一般的です。予算にない支出や、予算額を大きく超える支出は、標準管理規約では収支予算の変更として臨時総会の承認が必要になります(58条2項)。
ただし、例外もあります。標準管理規約は、災害等により総会の開催が困難な場合の応急的な修繕工事の実施を理事会の決議事項とし、その資金としての借入れや修繕積立金の取崩しも理事会で決議できるとしています(54条1項15号・2項)。また、共用部分の保存行為として理事長が行うものは、必要な支出ができる定めもあります(58条6項)。
理事会の議題に「報告・協議・決議」のラベルを貼る
理事会が長引く原因の一つは、その議題が「聞くだけ」なのか「意見を出し合う」のか「今日決める」のかが、出席者の間でそろっていないことです。議題一覧の段階で、次の3つのどれに当たるかを明記しておくと、議論の着地点が見えます。
| 区分 | その場でやること | 議事録に残すこと |
|---|---|---|
| 報告 | 内容を聞き、質問する | 報告の要旨と質疑 |
| 協議 | 方向性や論点を話し合う。結論は出さなくてよい | 出た意見、次回までに調べること |
| 決議 | 賛否をとって決める | 決定内容、賛否の数、理由、担当と期限 |

決議する議題には、1枚の「議案シート」を付けるのがおすすめです。書く項目は、決めてほしいこと(1行)、背景、比べた選択肢、費用と財源、決めない場合の影響、未確認の点、の6つ程度で足ります。未確認の点が大きいときは、その日は「調査を依頼する」ことだけを決め、本体の判断は次回に回す――それも立派な決定です。
理事会でこう言い換える
- 「今日は方向性の協議にとどめ、決議は見積もりがそろう次回にしませんか」
- 「この議題は報告として受け、質問は○日までに管理会社へ文書で出すことにしましょう」
- 「決める前に、この件が規約上理事会で決められる事項か確認させてください」
理事会の定足数・利害関係と傍聴のルール
理事会の決議には、成立のための条件があります。標準管理規約では、理事会はWEB会議システム等を用いる場合も含めて理事の半数以上が出席しなければ開けず、議事は出席理事の過半数で決します(53条1項)。出席が足りない会議で決めた事項は、後から有効性を問われかねません。
招集の手続きにも目を向けておきます。標準管理規約では、理事会の招集手続に総会の招集手続の規定を準用しつつ、理事会で別段の定めができるとしています(52条4項)。「毎月第2土曜に開く」と年度初めに決めておけば、毎回の通知で日時を確認する手間が省けますが、その決め方自体を議事録に残しておくと安心です。
書面やメールでの持ち回り決議は、どんな議題でもできるわけではありません。標準管理規約で書面または電磁的方法による決議が認められているのは、専有部分の修繕等の承認など54条1項5号の事項に限られ、それも理事の過半数の承諾があるときです(53条2項)。
利害関係のある理事は議決に加わらない
決議について特別の利害関係を持つ理事は、議決に加わることができません(53条3項)。また、役員が自分や第三者のために管理組合と取引をするときや、管理組合と役員の利益が相反する取引をするときは、理事会で重要な事実を開示して承認を受ける必要があります(37条の2)。理事長と管理組合の利益が相反する事項では、理事長は代表権を持たず、監事や他の理事が代表します(38条6項)。
2025年5月に成立したマンション関係法の改正には、管理業者が管理組合の管理者(代表者)を兼ね、工事などの発注者と受注者の立場が重なりうる場合の利益相反への対策として、自己取引等について区分所有者への事前説明を義務付ける内容も盛り込まれました(国土交通省「マンション関係法改正の概要」)。自分のマンションが管理業者管理者方式をとっている場合は、この点の運用も確認しておきたいところです。
区分所有者は理事会を傍聴できるか
標準管理規約には、組合員が理事会を傍聴することについての定めは置かれていません。傍聴やオブザーバー参加(議決権や発言権を持たずに同席すること)を認めるかどうかは、各組合の規約・細則や理事会の運営ルールで決めることになります。認める場合は、滞納者など個人の事情を扱う議題では退席してもらう、といった線引きを先に決めておくと運用しやすくなります。なお、理事会の議事録は、組合員や利害関係人が閲覧を請求できます(53条4項による49条の準用)。
管理会社の提案を、そのまま通さない聞き方
多くの議案は管理会社の提案として出てきます。管理会社は日常の管理を担う大切な相手ですが、工事や契約の提案では、管理会社自身や関係会社が受注する立場になることもあります。提案を疑ってかかる必要はありませんが、判断材料をそろえるのは理事会の役目です。
- 「この金額は、何を根拠に算出していますか。数量と単価の内訳をいただけますか」
- 「ほかの会社からも見積もりを取っていますか。取っていない場合、取れない理由はありますか」
- 「今回の工事を見送った場合、どのくらいの期間でどんな不具合が想定されますか」
- 「御社または関係会社がこの工事を受注する予定はありますか」
見積書の読み方は修繕工事の見積書の見方、複数社の比べ方は相見積もりの取り方で詳しく扱っています。管理会社との役割の線引きは管理会社に任せること、管理組合で決めることも参考になります。修繕工事の全体の流れは大規模修繕工事とはで確認できます。
2026年9月28日には、公正取引委員会が、関東地区のマンション管理組合が設計コンサルタントに委託して発注する大規模修繕工事をめぐり、施工業者らに排除措置命令と課徴金納付命令を出しました。特定の会社を疑うためではなく、「比べる」「根拠を聞く」「記録を残す」という基本の手順が、管理組合の身を守ることにつながる、という点を改めて確認しておきたいところです。
高額な工事や長期の契約ほど、1社の提案だけで即決せず、少なくとも「比べる時間」を1回分の理事会として確保すると判断が安定します。外部の専門家に見積もりの妥当性を確認してもらう方法もあります。
決めた後に「誰が・いつまでに・どう知らせるか」
決議して終わりにすると、翌月の理事会で「あれはどうなった?」が繰り返されます。決議した議題には、必ず次の4つをセットで記録します。
- 決定内容何を、いくらの範囲で、どの条件で決めたか。
- 理由比べた選択肢と、選んだ決め手。反対意見があれば論点として。
- 担当と期限発注・連絡・確認を誰がいつまでに行うか。
- 周知の方法掲示、配布、次の総会での報告など、住民にどう伝えるか。
反対や保留の意見は、発言者の名前ではなく論点として残すのが基本です。「費用対効果に疑問があるとの意見があった」と書いておけば、1年後に同じ論点が出たとき、前回どう検討したかをたどれます。記録の書き方は議案・議事録の基本で、住民への説明は住民の意見をどうまとめるかで続けて整理しています。
| 決定日 | 決定内容 | 担当・期限 | 状況 |
|---|---|---|---|
| 6月理事会 | 給水ポンプ交換。2社見積もりの低い方、上限170万円 | 理事長・管理会社/7月末発注 | 発注済み |
| 6月理事会 | 駐輪場の区画見直しを協議。細則改正の要否を確認 | 設備担当理事/次回報告 | 確認中 |
このような「決定事項一覧」を議事録とは別に1枚つくり、毎回の理事会の冒頭で状況欄を更新すると、決まったことが実行されないまま埋もれるのを防げます。
決議の前に確認したいこと
| 権限 | 規約・総会決議のどこに理事会の権限があるか |
|---|---|
| 予算 | 承認済み予算の範囲内か、どの費目から支出するか |
| 緊急性 | 急ぐ理由と、待った場合の影響 |
| 選択肢 | 比べた案と、見積もりの数 |
| 定足数 | 理事の半数以上が出席しているか |
| 利害関係 | 議決に加われない理事、開示と承認が必要な取引 |
| 記録 | 決定内容・理由・担当・期限・周知方法 |
| 周知 | 住民への知らせ方と、総会での報告の要否 |
どれか一つでも答えられない項目があれば、その日は決議せず、確認事項を決めて次回に回す判断も検討してください。「決めない」ことを理由とともに記録するのも、理事会の大事な仕事です。
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よくある質問
マンションの理事会とは何ですか?
総会で選ばれた理事で構成し、管理組合の業務を執行する機関です。標準管理規約では、規約や総会決議で任された業務執行の決定、理事の職務執行の監督、理事長などの選任・解任を行います。予算・決算や規約の変更といった基本事項は総会で決めるため、理事会はその案をつくり、決まったことを実行する役割を担います。
マンションの理事はどうやって決めるのですか?
標準管理規約では、理事と監事は総会の決議で選任し、理事長・副理事長・会計担当理事は理事会の決議で理事の中から選びます。総会に出す候補者の選び方は組合ごとに異なり、輪番制や立候補・推薦などを細則で定めている例があります。なり手がいない場合は、外部専門家を役員に選べるよう規約を整える方法もあります。
区分所有者は理事会を傍聴できますか?
標準管理規約には理事会の傍聴についての定めがなく、認めるかどうかは各組合の規約や細則、理事会の運営ルールによります。傍聴を認める組合では、個人情報を扱う議題の間は退席してもらうなどのルールを設けておくと運用しやすくなります。傍聴できない場合でも、組合員は理事会の議事録の閲覧を請求できます。
理事会に出席できない理事が、委任状を出すことはできますか?
標準管理規約のコメントでは、理事は原則として本人が出席して議論に参加することが求められています。令和7年改正では、規約に明文の定めを置いたうえで配偶者や一親等の親族などを職務代行者として出席させる考え方が示されました。委任状での出席を認めるかどうかは、自分のマンションの規約を確認してください。
メールやチャットで賛否をとって決めてもいいですか?
標準管理規約で書面または電磁的方法による理事会決議が認められているのは、専有部分の修繕等の承認など一部の事項に限られ、理事の過半数の承諾も必要です。それ以外は、WEB会議を含む理事会を開いて決議するのが原則です。チャットは連絡や資料共有に使い、決定は議事録に残る形で行いましょう。
理事長が独断で業者に発注してしまいました。どうすればいいですか?
まず、その発注が規約上理事長の権限で行えるもの(保存行為など)か、理事会や総会の決議が必要なものかを確認します。決議が必要なものであれば、理事会で経緯を確認し、監事に報告して対応を協議します。標準管理規約では、監事は不正や規約違反のおそれがあると認めるとき理事会に報告するものとされています。契約の扱いは弁護士に相談してください。
出典・参考資料
- 国土交通省|マンション標準管理規約(令和7年10月改正) ↗
- 国土交通省|令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(PDF) ↗
- 国土交通省|マンション関係法改正の概要(令和7年9月、PDF) ↗
- 法務省|区分所有法等の一部を改正する法律(令和7年法律第47号)について ↗
- 公正取引委員会|関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について(令和8年9月28日) ↗
- 国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果(概要編) ↗
- 国土交通省|マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定について(令和6年6月7日報道発表) ↗
写真:Photo by Nick Brice on Unsplash、Photo by The Jopwell Collection on Unsplash
本ページは一般的な確認の視点を整理した編集部記事です。個別の建物・契約・法的判断の確認を代替しません。法令・規約・契約は最新の資料で確認してください。