区分所有者とは?権利・義務と管理組合の組合員との関係

区分所有者とは、分譲マンションの部屋の所有者のことです。区分所有法の条文と2026年4月1日施行の改正点、標準管理規約をもとに、区分所有者の権利・義務、組合員や賃借人との違いをわかりやすく整理します。

まず押さえたいこと:区分所有者は全員が管理組合の組合員

この記事の要点

  1. 01区分所有者は部屋の所有者。住んでいなくても区分所有者
  2. 02区分所有者は全員で管理組合を構成し、抜けることはできない
  3. 03賃借人は組合員ではないが、使用方法のルールは守る義務がある
  4. 042026年4月の改正で決議は出席者基準になり、管理への協力が責務に
この記事の目次
水辺に並ぶ中層マンション

区分所有者とは?区分所有法の定義と持っている権利

区分所有者とは、分譲マンションの一室のように、一棟の建物の中で独立して使える部分を所有している人のことです。区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)第2条第2項は、区分所有者を「区分所有権を有する者」と定め、区分所有権を、構造上区分され独立して住居や店舗などに使える建物の部分(専有部分)を目的とする所有権としています。

分譲マンションの部屋を買って登記をすれば、その人は区分所有者です。住んでいるかどうか、自分で使っているか人に貸しているかは関係ありません。逆に、部屋を借りて住んでいる人は区分所有者ではなく、法律上は「占有者」と呼ばれます。

区分所有者が持っている3つのもの

区分所有者が持っているのは、部屋そのものだけではありません。法律上は、次の3つがセットになっています。

専有部分
住戸の内側など、区分所有権の対象になる部分。自分の所有物として使えます。
共用部分の共有持分
廊下、階段、エントランス、外壁、屋上などは区分所有者全員の共有です(第11条)。持分は、規約に別段の定めがなければ専有部分の床面積の割合で決まります(第14条)。
敷地利用権
建物が建つ土地を使う権利。多くは土地の共有持分で、原則として専有部分と切り離して売ることはできません(第22条)。

共用部分の持分も専有部分の処分に従い、専有部分と分離して処分することはできません(第15条)。部屋を売れば、共用部分の持分も敷地の権利も一緒に移るということです。

マンションの区分所有者の姿

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」では、区分所有者向け調査で世帯主の年齢は60歳代が27.8%で最も多く、70歳以上は前回調査の22.2%から25.9%に増えました。「永住するつもりである」と答えた人は60.4%です。一方、管理組合向け調査では、賃貸住戸の割合が20%を超えるマンションが15.5%ありました。住んでいない区分所有者(外部区分所有者)も含めて、さまざまな立場の人が一つの建物を共有しているのがマンションです。

25.9%世帯主が70歳以上の割合(令和5年度マンション総合調査)
60.4%「永住するつもり」と答えた区分所有者(同)
15.5%賃貸住戸の割合が20%を超えるマンション(同)

区分所有者と組合員・賃借人の違い

区分所有者になると、本人が望むかどうかにかかわらず、管理組合の一員になります。区分所有法第3条は、区分所有者は全員で、建物とその敷地・附属施設の管理を行うための団体を構成し、集会を開き、規約を定め、管理者を置くことができると定めています。この団体が一般に「管理組合」と呼ばれるものです。

国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年改正)も、組合員の資格は区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに失うとしています(第30条)。新たに組合員になった人や資格を失った人は、直ちに管理組合に届け出ることとされています(第31条)。

区分所有者と組合員はほぼ同じ人たち

このため、マンションでは「区分所有者」と「組合員」は基本的に同じ人たちを指します。違うのは言葉の使われる場面で、区分所有者は法律上の所有者としての立場、組合員は管理組合の構成員としての立場を表します。総会で議決権を持つのも、管理費や修繕積立金を負担するのも、組合員である区分所有者です。

立場管理組合での扱い主な権利・義務
住んでいる区分所有者組合員総会の議決権、役員になる資格、管理費等の負担、規約の遵守
住んでいない区分所有者組合員上と同じ。賃貸の場合は借主に規約を守らせる義務も負う
賃借人などの占有者組合員ではない使用方法について区分所有者と同じ義務を負う。利害関係がある議題では総会で意見を述べられる
同居の家族組合員ではない規約の定めにより、代理人として議決権を行使できる場合がある

部屋を貸している区分所有者について、標準管理規約第19条は、規約と使用細則を借主に守らせること、賃貸借契約にその旨の条項を入れること、借主から遵守の誓約書を管理組合に出させることを定めています。区分所有法第46条第2項も、占有者は建物などの使用方法について、区分所有者が規約や集会の決議に基づいて負う義務と同じ義務を負うとしています。

区分所有者の権利と義務を条文で確認する

区分所有者の権利と義務を、法律の条文に沿って整理しておきます。マンションでのトラブルの多くは、このどこかに関わっています。

区分所有者の主な権利

  • 専有部分を使い、貸し、売る権利:専有部分は自分の所有物です。ただし使い方は規約や使用細則の制限を受けます。
  • 共用部分を使う権利:各共有者は共用部分をその用方に従って使えます(第13条)。
  • 総会で議決権を行使する権利:議決権は、規約に別段の定めがなければ共用部分の持分の割合、つまり専有部分の床面積の割合によります(第38条)。書面や代理人による行使もでき、規約や集会の決議があれば電磁的方法でも行使できます(第39条)。
  • 管理者の解任を裁判所に請求する権利:管理者に不正な行為などがあるとき、各区分所有者は解任を裁判所に請求できます(第25条第2項)。

区分所有者の主な義務

  • 共同の利益に反する行為をしない義務:建物の保存に有害な行為など、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません(第6条第1項)。違反には、行為の停止請求、使用禁止の請求、区分所有権の競売請求といった段階的な措置が用意されています(第57条〜第59条)。
  • 費用を負担する義務:規約に別段の定めがない限り、持分に応じて共用部分の負担を負います(第19条)。
  • 規約と集会の決議に従う義務:規約と集会の決議は、区分所有者の特定承継人(部屋を買った人など)にも効力が及びます(第46条第1項)。

滞納は次の買主にも引き継がれる

管理費や修繕積立金の滞納がある部屋を買うと、その滞納分を管理組合から請求される可能性があります。区分所有法第8条は、共用部分などについての債権を特定承継人に対しても行使できると定め、標準管理規約第26条も、管理組合が管理費等について持つ債権を特定承継人に対して行使できるとしています。中古マンションを買うときに、管理費等の滞納の有無を確認するのはこのためです。

注意専有部分の中の工事でも、自由にできるとは限りません。標準管理規約第17条は、共用部分や他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕等を行う場合に、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることを定めています。リフォームを計画したら、まず管理規約と使用細則を確かめてください。

2026年4月施行の改正区分所有法で変わったこと

2025年5月に成立した改正区分所有法(令和7年法律第47号)が、2026年4月1日に施行されました。区分所有者の立場に関わる主な改正点は次のとおりです(条文はe-Gov法令検索の施行版で確認)。

改正点内容区分所有者への影響
区分所有者の責務(第5条の2)区分所有者は団体の構成員として、管理が適正かつ円滑に行われるよう相互に協力しなければならない管理への協力が法律上の責務として明記された
出席者の多数決(第17条・第39条など)集会の決議を、出席した区分所有者と議決権を基準に数える仕組みへ。特別決議にも定足数(区分所有者・議決権の各過半数の出席)を設定欠席者が「反対」と同じ扱いにならなくなった。出席や議決権行使書の提出がより重要に
所在等不明区分所有者の除外(第38条の2)裁判所の裁判により、所在のわからない区分所有者を集会の決議の母数から除外できる連絡のつかない所有者がいても決議しやすくなる
国内管理人(第6条の2)国内に住所のない区分所有者は、国内に住む人から管理人を選任できる。管理人は招集通知の受領や議決権の行使などができる海外在住の所有者との連絡手段が制度化された
専有部分・共用部分の管理命令(第46条の2以下)所有者不明の専有部分や、管理が不適当な専有部分・共用部分について、裁判所が管理人による管理を命じられる放置された住戸への対応手段が増えた
建替え決議の要件(第62条)原則の5分の4に加え、耐震性・耐火性の不足や外壁の剝離のおそれなどがある場合は4分の3老朽化した建物の再生の選択肢が広がった

「出席者の多数決」で変わること

改正前は、規約の変更など特別決議は区分所有者と議決権の各4分の3以上という「全体を母数とする」要件で、欠席や無関心は事実上の反対票になっていました。改正後は、定足数を満たした集会で、出席者(書面や代理人による行使を含む)の4分の3以上で決まります。区分所有者にとっては、議決権行使書を出すかどうかで結論への影響力が大きく変わることになります。

令和5年度マンション総合調査でも、所在不明・連絡先不通の住戸がないマンションは87.7%で、0%超〜20%のマンションが3.3%ありました。少数でも連絡のつかない所有者がいると、総会運営の負担になります。総会の具体的な決議要件は総会の進め方と準備、議決権の行使方法は総会・議決権の基本を知るで説明しています。

区分所有者が変わるとき――相続・売買と届出

区分所有者が変わる場面は、売買だけではありません。相続、贈与、離婚による財産分与など、さまざまなきっかけで所有者が入れ替わります。そのたびに管理組合の名簿が正しく更新されないと、総会の招集通知が届かない、管理費の請求先がわからないといった問題が起こります。

相続登記は2024年4月から義務

法務省によると、相続登記の申請は令和6年4月1日から義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。令和6年4月1日より前に相続した不動産も対象で、まだ登記していない場合は令和9年3月31日までに申請する必要があります。マンションの部屋を相続した人は、登記とあわせて管理組合への届出も忘れないようにしたいところです。

区分所有者になったらやること

  1. 管理組合に届け出る標準管理規約第31条に沿って、組合員の資格を取得したことを書面などで届け出ます。管理会社が窓口になっていることが多いです。
  2. 管理規約と使用細則を受け取るペット、リフォーム、駐車場、ごみ出しなどのルールを確かめます。
  3. 管理費等の引落しを設定する前の所有者の滞納がないかも、売主や管理会社に確認しておきます。
  4. 直近の総会資料を読む予算、決算、長期修繕計画、修繕積立金の改定予定を把握します。
  5. 連絡先を最新に保つ住所や連絡先が変わったら、直ちに届け出ます(第31条第2項)。海外に住む場合は国内管理人の選任も検討します。

区分所有者として、理事会・総会で確かめておきたい質問の例も挙げておきます。「組合員名簿は、所有者の変更があるたびに更新されていますか」「連絡のつかない区分所有者は何戸ありますか」「議決権行使書の提出状況は、直近の総会でどうでしたか」。管理組合の全体像は管理組合とは、マンション管理の基本はマンション管理の基本、自分のマンションで見ておきたい点は自分のマンションで確認しておきたいことにまとめています。

区分所有者として確認しておきたいチェックリスト

確認する項目見ておきたいこと
管理規約の改正時期2026年4月施行の改正法や令和7年改正の標準管理規約に対応しているか
組合員の届出所有者になったこと、連絡先の変更を管理組合に届け出たか
議決権の数え方1住戸1議決権か、床面積割合か、規約の定めを確認したか
議決権の行使方法書面・代理人・電磁的方法のどれが使えるか
管理費等の滞納購入・相続した部屋に前所有者の滞納がないか
専有部分の工事リフォーム前に理事長の承認が必要な工事を確認したか
賃貸に出す場合借主の誓約書・届出の手続きと使用細則の周知
相続登記相続した場合、3年以内に登記を申請しているか

チェックリストは、管理規約と直近の総会資料があればほとんど確認できます。とくに2026年4月の改正法施行後は、管理規約が新しい決議要件に合わせて改正されているかが大事なポイントです。標準管理規約も令和7年に改正されているため、自分のマンションの規約の改正時期を確かめ、古いままなら理事会に見直しの予定を尋ねてみてください。大規模修繕の決議など、区分所有者の判断が直接問われる場面については大規模修繕工事とはも参考になります。

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よくある質問

区分所有者とは簡単にいうと誰のことですか?

分譲マンションの部屋(専有部分)の所有者のことです。区分所有法第2条第2項は「区分所有権を有する者」と定めています。住んでいるかどうかは関係なく、部屋を貸している所有者も区分所有者です。部屋を借りて住んでいる人は区分所有者ではなく「占有者」にあたります。

区分所有者と組合員の違いは何ですか?

基本的には同じ人たちを指します。区分所有法第3条により区分所有者は全員で管理のための団体(管理組合)を構成するため、区分所有者になれば組合員になります。区分所有者は所有者としての立場、組合員は管理組合の構成員としての立場を表す言葉の違いです。

賃貸で住んでいる人は管理組合の組合員になれますか?

組合員にはなれません。組合員は区分所有者に限られます。ただし賃借人などの占有者も、建物の使用方法については区分所有者と同じ義務を負い(区分所有法第46条第2項)、利害関係のある議題については総会に出席して意見を述べることができます(第44条)。

区分所有者は管理組合を抜けることができますか?

できません。区分所有者である限り、全員が管理組合の構成員になる仕組みです(区分所有法第3条)。管理組合から外れるのは、部屋を売るなどして区分所有者でなくなったときです。管理費や修繕積立金の負担も、区分所有者である間は続きます。

2026年4月の区分所有法改正で区分所有者に何が変わりましたか?

区分所有者の責務として管理への協力が明記され、集会の決議は出席した区分所有者と議決権を基準に数える仕組みになりました。所在のわからない区分所有者を裁判所の裁判で決議の母数から除く制度や、国内管理人の制度も設けられています。総会への出席や議決権行使の重みが増したといえます。

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出典・参考資料

写真:Photo by Tayawee Supan on Unsplash

本ページは一般的な確認の視点を整理した編集部記事です。個別の建物・契約・法的判断の確認を代替しません。法令・規約・契約は最新の資料で確認してください。