自分のマンションで確認しておきたいこと

住み続ける人、部屋を貸している人、相続した人、海外に移る人。立場によって確認すべきことは少しずつ違います。手元にそろえたい資料、建物とお金の見通しをつかむ3つの数字、届出の要点を、住民の目線でまとめます。

まず押さえたいこと:立場が変わったら、組合への届出を見直す

この記事の要点

  1. 01規約・総会資料・長期修繕計画・決算書をそろえる
  2. 02計画の見直し年、次の工事、積立金の計画差を見る
  3. 03賃貸・相続・海外転居では、組合への届出を忘れずに
  4. 04総会の案内が届いた日を、年に一度の点検日にする
この記事の目次
大きな窓から街並みが見える、明るいマンションのリビング

まず、自分がどの立場の区分所有者かを整理する

同じマンションの区分所有者でも、確認すべきことは立場によって少しずつ違います。長く住み続けるつもりの人、転勤で部屋を貸している人、親から部屋を相続した人、海外に移る予定の人。自分がどれに当たるのかを先に整理しておくと、何から手をつければよいかがはっきりします。

住み続けている、部屋を貸している、相続した、海外へ転居する、借りて住んでいるという立場ごとに、まず押さえたい確認事項や届出をまとめた図
立場ごとに最初に確認したいこと(マンション標準管理規約 令和7年10月改正、法務省「相続登記の申請義務化」をもとに作成)

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」では、今のマンションに「永住するつもりである」と答えた区分所有者は60.4%でした。前回の62.8%からは少し下がり、「いずれは住み替えるつもりである」は17.7%です。同じ調査の報道発表では、賃貸住戸のあるマンションの割合は77.8%で、前回より3.1ポイント増えています。住み続ける人、貸す人、いずれ手放す人が同じ建物に混在しているのが、いまのマンションの姿です。

高齢の親がひとりで住んでいる場合

同じ調査で、世帯主が70歳以上の割合は25.9%と、前回から3.7ポイント増えました。親が所有者として住んでいて、子どもが離れて暮らしている、という家族も多いでしょう。総会の案内や値上げのお知らせを親だけが受け取っていると、大事な決定に気づかないまま時間が過ぎることがあります。標準管理規約では、組合員の配偶者や一親等の親族は代理人として議決権を使えるとされています。親と一緒に総会資料に目を通す、必要なら委任状で代理を引き受ける、といった関わり方も考えられます。

手元にそろえたい5つの資料と、その入手方法

自分のマンションを知るための資料は、実はそれほど多くありません。次の5つがそろえば、建物・お金・ルールの大部分が分かります。

資料分かること入手のしかた
管理規約・使用細則管理費等の負担割合、議決権、リフォームやペット・駐車場のルール購入時の書類、管理会社に写しを依頼
総会の議案書・議事録(直近2〜3年分)決まったこと、予定されている工事、値上げの議論毎年の配布物。過去分は閲覧を請求
長期修繕計画次の大規模修繕の時期と金額、積立金の見通し総会資料に添付されることが多い。閲覧も可
決算書・予算書管理費と修繕積立金の収支、積立金の残高通常総会の議案書
連絡先の一覧管理会社の窓口、夜間・休日の緊急連絡先掲示板、入居時の案内、管理会社

標準管理規約では、会計帳簿、長期修繕計画書、設計図書、修繕等の履歴情報などを理事長が保管し、組合員や利害関係人が理由を付けた書面で請求すれば閲覧できるとされています。手元にない資料は、管理会社を通じて閲覧や写しの交付を頼んでみてください。

購入時に読んだはず、でも覚えていない

令和5年度の同調査では、マンション購入時に長期修繕計画を「よく確認した」人は、新築・中古とも1割に満たず、中古で購入した人の約半数は「ほとんど確認していない」か「確認していない」と答えていました。買ったときに見ていなくても、今から確認すれば十分に間に合います。

建物とお金の見通しは、3つの数字でつかむ

資料がそろったら、建物とお金の見通しを3つの数字でつかみます。

  1. 長期修繕計画の「作成・見直し年」国交省の長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)は、5年程度ごとの見直しを求めています。国の管理計画認定制度でも、計画が7年以内に作成または見直しされていることが基準の一つです。10年近く前の計画のままなら、見直しの予定を尋ねてみましょう。
  2. 次の大規模修繕の「時期と金額」計画表で、次に大きな支出がある年度と金額を確認します。ガイドラインでは計画期間を30年以上、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とするのが目安です。
  3. 修繕積立金の「計画との差」決算書の積立金残高を、長期修繕計画の同じ年度の予定残高と比べます。令和5年度の調査では、残高が計画に対して不足しているマンションが36.6%ありました。

あわせて、積立方式も見ておきます。令和5年度の調査では、当初は低めに設定して段階的に上げていく段階増額積立方式のマンションが47.1%ありました。この方式なら、計画表に次の値上げの年と金額が書かれているはずです。いまの月額だけで安心せず、5年後、10年後の月額も確かめてください。

積立金の水準や値上げについては、長期修繕計画の記事と修繕積立金はいくら必要?の記事で詳しく扱っています。

貸している・相続した・海外へ移る人の届出

住んでいない部屋の所有者ほど、管理組合との連絡が途切れがちです。立場ごとに、届出と確認のポイントを整理します。

住宅街の交差点に停まるワゴン車
転居や賃貸、売却のタイミングは、組合への届出を見直す機会でもある

部屋を貸している場合

標準管理規約の第19条は、部屋を貸す所有者に対し、借主に規約と使用細則を守らせること、賃貸借契約にその旨の条項を入れること、借主から規約を守る旨の誓約書と、借りた旨の届出を組合に出させることを求めています。あわせて、総会の案内が自分に届くよう、現住所やメールアドレスを組合に届け出ておくことが大切です。届出がないと、案内は部屋の所在地、つまり借主の住む部屋に送られてしまいます。

部屋を相続した場合

新たに組合員になった人は、直ちにその旨を組合に届け出ることになっています(標準管理規約第31条)。あわせて、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。法務省によると、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をする必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前に相続した不動産でも、登記が済んでいなければ2027年3月31日までの申請が必要です。

売却を考えている場合

部屋を売るときは、管理費等の滞納がないか、予定されている一時金や値上げがないかを先に確かめておくと、買主との話がスムーズです。令和5年度の調査では、マンションを選ぶときに入居後の共用部分の維持管理を考慮した人が43.5%いました。買う側も管理の状況を見ているので、総会資料や長期修繕計画の内容を自分でも把握しておくと、不動産会社とのやり取りで役に立ちます。

海外に転居する場合

2026年4月1日に施行された改正区分所有法で、国内に住所を持たない区分所有者が、国内に住む人を「国内管理人」に選べる制度ができました。国内管理人は、専有部分などの保存行為、総会の案内の受け取りと議決権の行使、管理費等の支払いなどを担えます。規約で選任を義務づけることもでき、標準管理規約では、選任したら氏名と住所を理事長に届け出るとしています。海外赴任が決まったら、規約の定めを確認しておきましょう。

リフォーム、ペット、置き配。暮らしのルールを確かめる

住み続けるうえで毎日かかわるのは、使用細則などの暮らしのルールです。令和5年度の調査では、使用細則等を定めている種類として、駐車場(81.8%)、専有部分の使用・居住(81.1%)、自転車置場・バイク置場(72.9%)、専有部分の修繕等(71.4%)、ペット飼育(70.5%)、ベランダ・バルコニー(56.2%)が挙がっていました。

  • リフォームをするときの申請・届出の方法と、工事できる曜日や時間
  • ペットの種類や大きさ、頭数の制限
  • ベランダで禁止されていること(避難の妨げになる物の設置など)
  • 駐車場・駐輪場の契約方法と空き状況
  • ごみの出し方と、粗大ごみの扱い
  • 宅配の置き配の可否

最後の置き配については、同じ調査で「特にルールを決めていない」管理組合が86.0%でした。ルールがない事柄は、困ったときに理事会に相談して決めてもらう対象になります。リフォームについては、標準管理規約でも、理事長の承認が要らない工事であっても、業者の出入りや騒音などで共用部分や他の住戸に影響するものは、あらかじめ届け出るとされています。

リフォームのルールは、近隣との関係にも直結します。同じ調査で、居住者間のトラブルの内容として最も多かったのは生活音(43.6%)でした。床や水回りの工事を考えているなら、工事の前に細則を読み、必要な申請と近隣へのあいさつの段取りを管理会社に確認しておくと安心です。

防災の備えも、ルールの一部

避難経路、消火器や避難はしごの位置、緊急連絡先の登録は、一度確かめておきたい項目です。令和5年度の調査では、緊急連絡先を整備している管理組合は81.7%、定期的に防災訓練を実施している管理組合は39.8%でした。自分の部屋の緊急連絡先が古いままになっていないかも、あわせて見直してください。

総会の案内が届いた日を、年に一度の点検日に

ここまでの確認は、一度やれば終わりではありません。とはいえ、毎月見直す必要もありません。おすすめは、年に一度の通常総会の案内が届いたときを「点検日」にすることです。

  1. 決算書で積立金の残高を見る前年と比べて増えているか、計画との差はどうか。
  2. 議案の中に、工事・値上げ・規約改正がないか探すあれば、自分の家計や暮らしへの影響をメモします。
  3. 自分の届出内容が最新か確かめる住所、連絡先、同居家族、賃貸の有無、国内管理人。
  4. 疑問をまとめて、期限までに質問する質問の出し方は総会・議決権の記事を参考にしてください。

配られた資料は、年度ごとに1冊のファイルにまとめておくと便利です。議案書、議事録、決算書、お知らせを同じ場所に入れておけば、「前回の値上げはいつだったか」「前の工事でどこを直したか」をすぐにたどれます。賃貸や売却、相続の場面で家族や専門家に説明するときにも、そのまま資料として使えます。

国の管理計画認定制度の基準を当てはめると、令和5年度の調査に回答したマンションのうち基準をすべて満たすのは4.8%でした。管理がうまくいっていないという意味ではなく、長期修繕計画の見直しや名簿の整備など、改善の余地がある項目がそれぞれにあるということです。住民一人ひとりが自分のマンションの状態を知っていることが、その改善を後押しします。

自分のマンションで確認しておきたいこと

管理規約・使用細則最新版が手元にあるか。直近の改正内容
総会資料直近2〜3年分の議案書と議事録
長期修繕計画作成・見直しの年、計画期間、次の大規模修繕の時期と金額
修繕積立金現在の残高と、計画上の予定残高との差。値上げの予定
届出内容住所・連絡先・同居家族・賃貸の有無が最新か
相続・共有組合員変更の届出、議決権行使者の届出、相続登記
海外転居国内管理人の選任が必要か、選任した場合の届出
暮らしのルールリフォーム申請、ペット、駐車場・駐輪場、置き配
緊急時緊急連絡先の登録と、避難経路・防災設備の位置

すべての項目を一度に確かめる必要はありません。気になるテーマから一つずつ進め、分かったことと分からなかったことをメモに残しておきます。分からなかった項目は、翌年の総会前に質問するリストになります。

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よくある質問

何から読むのがよいですか?

直近の通常総会の議案書と、現在の管理規約から始めるのがおすすめです。議案書には決算と予算、予定している工事がまとまっていて、規約には費用負担や議決権のルールが書かれています。すべてを一度に読むより、気になるテーマの項目から確認してください。

長期修繕計画が手元にありません。見せてもらえますか?

標準管理規約では、理事長が長期修繕計画書を保管し、組合員が理由を付けた書面で請求すれば閲覧できるとされています。まずは管理会社の窓口に、閲覧の方法と写しをもらえるかを尋ねてください。総会資料に添付されている場合もあります。

部屋を貸していると、総会の案内は誰に届きますか?

組合員が届け出た宛先に届きます。届出がなければ部屋の所在地、つまり借主の住む部屋に送られるため、所有者の手元に届かないことがあります。貸し出す前に、現住所やメールアドレスを組合に届け出ておきましょう。

相続した部屋を売る予定です。それでも届出は必要ですか?

必要です。売却までの間も組合員として管理費等の支払い義務があり、総会の案内も届きます。相続登記も、売却の前提として済ませておく必要があります。売却の時期や方法については、不動産会社や司法書士などの専門家に相談してください。

借りて住んでいる人は、何を確認すればいいですか?

使用細則など暮らしのルールと、困ったときの連絡先です。借りている人にも規約や使用細則を守る義務があります。ルールの内容は、貸主や管理会社に尋ねれば分かります。利害関係のある議題なら、事前に理事長へ通知して総会で意見を述べることもできます。

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出典・参考資料

写真:Photo by Danilo Rios on Unsplash、Photo by Catarina Duarte on Unsplash

本ページは一般的な確認の視点を整理した編集部記事です。個別の建物・契約・法的判断の確認を代替しません。法令・規約・契約は最新の資料で確認してください。