マンション管理員の仕事内容と勤務形態・代行の仕組み
マンション管理員は、管理会社から派遣されて受付・点検・立会い・報告を担う人です。国土交通省の標準管理委託契約書(令和7年12月改訂)をもとに、管理員業務の範囲、勤務形態、休む日の代行の決め方を整理します。
この記事の要点
- 01マンション管理員は管理会社の側の人で、人件費は管理費から出ている
- 02管理員業務は受付・点検・立会い・報告連絡の4つに整理されている
- 03専有部分の作業や時間外対応は、契約に書かれていなければ対象外
- 04休暇時の代行か精算かは、あらかじめ契約で決めておくと揉めない
この記事の目次

マンション管理員とは?管理会社から派遣される「現場の窓口」
マンション管理員は、エントランス脇の管理事務室にいて、届出の受付や共用部分の見回り、業者の立会いを担う人です。「管理人さん」と呼ばれることも多いのですが、国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」では「管理員」という言葉が使われているため、この記事でも管理員と書きます。
押さえておきたいのは、マンションの管理員の多くが管理組合の職員ではなく、管理組合から管理業務を受託した管理会社の側の人だという点です。管理組合が管理会社と管理委託契約を結び、その中の「管理員業務」として管理員が派遣されます。給与は管理会社が払いますが、その原資は管理組合が払う管理委託費、つまり区分所有者が毎月納める管理費です。標準管理規約(令和7年改正)第27条も、管理費を充てる経費の最初に「管理員人件費」を挙げています。
管理員・管理会社の担当者・資格者の違い
管理会社には、現場にいる管理員のほかに、理事会や総会の運営を支える担当者がいます。さらに法律上の資格者として管理業務主任者やマンション管理士がいて、役割がそれぞれ違います。
- マンション管理員
- 管理委託契約の「管理員業務」を現場で行う人。受付、点検、立会い、報告連絡が中心で、特別な国家資格は求められていません。
- 管理会社の担当者
- 理事会・総会の資料づくりや会計報告、工事の取次ぎなど「事務管理業務」を受け持つ社員。複数のマンションを掛け持ちするのが一般的です。
- 管理業務主任者
- マンション管理適正化法に基づく国家資格者。管理委託契約の重要事項説明や、年1回の管理事務報告を行います(適正化法第72条・第77条)。
- マンション管理士
- 同じく国家資格者ですが、管理会社側ではなく、管理組合から相談を受けて助言する立場です。
管理員の働きは満足度を左右する
国土交通省「令和5年度マンション総合調査」では、管理全般に満足していると答えた区分所有者に理由を聞いたところ、「マンション管理業者が良いので」が69.9%、「管理員が良いので」が49.0%でした。毎日顔を合わせる管理員の対応は、住み心地の評価に直結しやすいことがうかがえます。
管理員業務は4つ:受付・点検・立会い・報告連絡
管理員業務の中身は、標準管理委託契約書の別表第2「管理員業務」に整理されています。実際の契約書もこの別表に沿って書かれていることが多く、自分のマンションの契約書と見比べると、管理員に何を任せているかがはっきりします。
| 業務の区分 | 別表第2に書かれている主な内容 | 住民から見える場面 |
|---|---|---|
| 受付等の業務 | 各種使用申込の受理と報告、組合員等異動届出書の受理と報告、利害関係人への管理規約等の閲覧、共用部分の鍵の管理と貸出し、管理用備品の在庫管理、引越業者等への指示 | 集会室の予約、転入・転出の届出、引越し養生の案内 |
| 点検業務 | 建物・諸設備・諸施設の外観目視点検、照明の点灯・消灯と管球類の点検・交換(高所等の危険箇所は除く)、諸設備の運転・作動状況の点検と記録、無断駐車等の確認 | 共用灯の球切れ対応、ポンプ室や受水槽まわりの見回り |
| 立会業務 | 管理事務に関わる外注業者の業務の着手・実施の立会い、ごみ搬出時の立会い、災害・事故等の処理の立会い | エレベーター点検や清掃業者の作業確認、収集日のごみ置場 |
| 報告連絡業務 | 管理組合の文書の配付・掲示、各種届出・点検結果・立会結果等の報告、災害・事故等発生時の連絡・報告 | 掲示板のお知らせ、漏水時の管理会社への連絡 |
「立会い」は作業中ずっと見張ることではない
誤解が多いのが立会業務です。標準管理委託契約書のコメントは、立会いとは終業や業務の完了確認などを行うことで、外注業者の作業中に常に立ち会うことを意味しないと説明しています。工事の完了確認も、設計図書どおりに施工されたかを検査するものではなく、外観目視などで完了を確かめたり、業者から終了報告を受けたりすることを指します。
つまり、大規模修繕工事の品質を管理員に確認してもらうことはできません。施工の品質は、工事監理者や管理組合側の専門家がチェックする領域です。詳しくは工事の品質を守るための記事で整理しています。
立会いの対象外になる業者もある
コメントでは、立会いの対象になる「外注業者」は管理事務の実施に関わる業者で、専有部分のリフォーム工事などの業者は含まれないとされています。住戸の内装工事の業者に鍵を渡しておいてほしい、作業を見ておいてほしいといった依頼は、管理員業務の範囲外です。
マンション管理員に頼めないこと、別契約になること
管理員に頼みごとをして断られ、「冷たい」と感じた経験がある人もいるかもしれません。多くの場合、それは管理員個人の判断ではなく、契約で決まった範囲の外だからです。範囲外になりやすいものを先に知っておくと、行き違いが減ります。
- 専有部分の中のこと:標準管理委託契約書のコメントは、管理業者の管理対象は原則として敷地と共用部分等だとしています。室内の電球交換や家具の移動、住戸内設備の修理手配は、別の有料サービスでない限り対象外です。専有部分を対象にしたサービスを契約に入れる場合も、便益を受ける人が費用を負担する形にすることが求められています。
- 特定の住民だけを対象にした見守りなど:高齢の住民の安否確認のような業務も、原則は便益を受ける人の負担です。ただし、マンション全体の居住環境の維持向上や防災に役立つと認められる業務は、管理組合からの依頼で契約に含めることもできるとされています。
- 勤務時間外の対応:時間外の対応が想定されるなら、あらかじめ管理組合と協議し、必要に応じて契約に条件を明記することが望ましいとされています。
- 防火管理者の業務や警備業務:消防法の防火管理者が行う業務、警備業法の警備業務は管理事務に含まれず、別の契約にすることが望ましいとされています。
- 清掃:管理員が清掃を兼ねる場合は、その旨を別表第2に書くことになっています。書かれていなければ、清掃は清掃員(別表第3)の仕事です。
管理員に直接「指示」してよいのは誰か
標準管理委託契約書第8条は、管理事務に関する指示は、法令に基づく場合を除き、理事長などの管理者等か、管理組合が指定した役員が、管理会社が指定した者に対して行うと定めています。令和7年12月の改訂でコメントが加わり、カスタマーハラスメントを未然に防ぐための規定だと説明されています。
ただし、住民が管理員に情報を伝えたり、相談や要望を寄せたりすることまで妨げるものではありません。「ごみ置場の扉が壊れている」と伝えるのは問題ありませんが、「今日から毎朝ここを掃除して」といった業務の変更は、理事会を通して管理会社に依頼するのが筋です。
通勤・住込・巡回――管理員の勤務形態と勤務日
管理員の働き方は、マンションごとに契約で決まります。標準管理委託契約書の別表第2は、勤務形態として最も多い「管理員通勤方式」をひな型にしていて、住込方式や巡回方式などの場合は表を修正して使うよう、コメントで説明しています。
| 勤務形態 | 働き方のイメージ | 契約で確かめたい点 |
|---|---|---|
| 通勤方式 | 管理員が決まった曜日・時間に通って管理事務室で勤務する | 週の勤務日数と曜日、始業・終業時刻、休憩時間 |
| 住込方式 | 管理員が管理員室に住み込み、勤務時間を定めて勤務する | 勤務時間と時間外の扱い、居室の使用条件 |
| 巡回方式 | 管理員が常駐せず、複数のマンションを決まった頻度で回る | 巡回の頻度と滞在時間、不在時の連絡先 |
ひな型に書かれている勤務日・休日
別表第2のひな型では、勤務日・勤務時間を「週○日(○曜日…)、午前・午後○時○分〜○時○分(休憩時間○分を含む)」の形で書き込みます。休日は、日曜日・祝日と国が定める休日、夏期休暇○日、年末年始休暇、その他休暇○日(健康診断や研修で勤務できない場合を含む)という並びです。執務場所は管理事務室とされています。
あわせて、緊急事態が起きたときなどやむを得ない場合は、勤務日・勤務時間以外にも適宜執務すると定めています。ただしこれは「いつでも呼べる」という意味ではありません。夜間の漏水などは、管理会社の緊急対応窓口や、契約第9条の緊急時の業務で対応するのが基本です。
総会での勤務日の議論では、ごみ収集日との関係がよく問題になります。コメントでは、自治体の都合でごみの収集日や時間が変わった場合に、協議で勤務日を変更できる旨をあらかじめ決めておくことも考えられるとしています。
管理員のなり手は高齢化している
管理員の確保は年々難しくなっています。一般社団法人マンション管理業協会が会員社に行った「現場従業員の雇用の実態に関する調査」(平成30年3月公表、回答161社)では、通勤管理員(週30時間未満)について約6割の会員社が採用難と答えました。現場従業員の年齢構成は男女とも65〜69歳が最も多く、男性では60歳以上が9割を超えていました。
こうした事情から、管理会社から勤務日数の削減や委託費の増額を提案されることがあります。その場合の比較の仕方は管理委託契約の見方で詳しく扱っています。
管理員が休む日の「代行」は契約で決める
管理員が夏休みや病気で休む日、マンションはどうなるのか。ここが「代行」の論点です。管理会社によっては別の管理員を派遣する(いわゆる代行管理員)こともあれば、その日は不在として委託費を精算したり、別の勤務日に時間を振り替えたりすることもあります。どれが正しいというより、契約でどう決めてあるかが問題になります。
標準管理委託契約書のコメントは、管理会社に対して次のことを求めています。
- 夏期休暇・年末年始休暇の対象日、その他休暇の日数(健康診断や研修で勤務できない日を含む)を事前に書面で示す
- 休暇の際の対応(精算や他の勤務日での時間調整など)を、あらかじめ具体的に示す
- 忌引・病気・災害・事故などでやむを得ず勤務できない場合の対応を、管理組合と協議してあらかじめ決めておく
いずれも「望ましい」という書き方で義務ではありませんが、決めていないと、休みのたびに「代わりの人は来ないのか」「その分の費用はどうなるのか」という議論が起きます。
代行ルールを契約に入れる手順
- 今の契約書を読む別表第2の勤務日・休日の欄と、休暇時の精算や振替について書かれた箇所を探します。書かれていなければ「未決定」です。
- 過去1年の実績を出してもらう管理員が休んだ日数、そのうち代行が来た日数、精算の有無を管理会社に一覧にしてもらいます。
- 選択肢と費用を比べる代行派遣、精算、振替のそれぞれについて、委託費がどう変わるかを管理会社に試算してもらいます。
- 理事会で方針を決める住民が困る業務(ごみ出し日、受付の多い曜日)を基準に、代行が必要な日を絞り込みます。
- 契約変更として総会に諮る委託費や業務内容が変わる場合は、管理規約に沿って総会の議案にします。
働き方改革との関係
コメントは、管理員業務や清掃業務の労働条件を見直す際に、時間外労働の上限規制や「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の趣旨を管理会社が説明し、理解を促すことが望ましいとしています。休暇が増えること自体は法制度に沿った変化なので、休暇を減らす方向ではなく、休む日の対応をどう決めるかに議論を向けると建設的です。
マンション管理員への要望・不満は理事会経由で伝える
管理員の対応に不満があるとき、本人に直接強く言っても、状況はあまり良くなりません。管理員は管理会社の指揮のもとで働いていて、業務の範囲や優先順位を決めているのは契約と管理会社だからです。伝える順番を決めておくと、住民にとっても管理員にとっても負担が減ります。
住民から理事会へ、理事会から管理会社へ
住民からの要望は、意見箱や理事会宛ての書面、管理会社の窓口で受け付け、理事会で整理してから管理会社の担当者に伝えるのが基本です。標準管理規約のコメントでは、理事会が必要と認めて出席を求められる人の例として、マンション管理業者やマンション管理士と並んで管理員が挙げられています。現場の事情を管理員から直接聞きたいときは、理事会に同席してもらう方法もあります。
理事会で管理会社に聞いておきたいこと
- 「管理員の勤務日と勤務時間は、契約書の別表第2の記載どおりに運用されていますか。実績の記録を見せてもらえますか」
- 「管理員が休む日の対応は、契約上どうなっていますか。昨年度、代行が来なかった日は何日ありましたか」
- 「清掃を管理員が兼ねている場合、その範囲と頻度はどこに書かれていますか」
- 「管理員から会社への日報や報告は、どの頻度で理事会に共有してもらえますか」
- 「住民からの苦情や要望は、管理員が受けたあと、誰がどう記録していますか」
管理員の交代を求める場合も、窓口は管理会社です。人事は管理会社の判断になるため、「いつ・どんな場面で・何が問題だったか」を記録して伝えると、話が具体的になります。管理会社との日頃の関係づくりは管理会社との付き合い方、管理会社全体の業務範囲は管理会社は何をしてくれる?で扱っています。マンション管理の全体像から確かめたい場合はマンション管理の基本、管理組合の仕組みは管理組合とはもあわせて読んでください。
管理員業務を確かめるチェックリスト
| 確認する項目 | 見ておきたいこと |
|---|---|
| 勤務形態と人数 | 通勤・住込・巡回のどれか、管理員は何名か(別表第2の1) |
| 勤務日・勤務時間 | 曜日、始業・終業時刻、休憩時間が実際の運用と合っているか |
| 休日と休暇日数 | 夏期・年末年始・その他休暇の日数が書面で示されているか |
| 休暇・欠勤時の対応 | 代行管理員の派遣か、委託費の精算か、時間の振替か |
| 業務の範囲 | 受付・点検・立会い・報告連絡の各項目が現場の実態と一致しているか |
| 清掃の兼務 | 管理員が清掃を兼ねる場合、別表第2にその旨と範囲が書かれているか |
| 時間外・緊急時 | 時間外の対応条件と、夜間休日の緊急連絡先が住民に周知されているか |
| 報告の流れ | 日報・点検結果・住民の要望が理事会に届く仕組みがあるか |
| 費用の内訳 | 管理員業務費が委託費の内訳で分けて示されているか |
チェックリストは、管理委託契約書と、管理会社から届く報告書を手元に置いて確かめると効率的です。「書かれていない」項目が見つかったら、それ自体が次の契約更新で協議する材料になります。管理員業務費は管理委託費の内訳の一つで、別紙の内訳表で他の業務と分けて確認できます。増額の提案を受けたときは、勤務時間を変えた場合の試算とあわせて比べると、判断がしやすくなります。
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よくある質問
マンションの管理員と管理人は違うのですか?
日常会話ではほぼ同じ意味で使われます。国土交通省の標準管理委託契約書や標準管理規約では「管理員」という言葉が使われ、管理委託契約の「管理員業務」を行う人を指します。国家資格が必要な管理業務主任者や、管理組合に助言するマンション管理士とは別の立場です。
管理員がいない夜間や休日に水漏れが起きたらどうすればいいですか?
管理会社が案内している緊急連絡先(夜間・休日の受付窓口)に連絡するのが基本です。標準管理委託契約書第9条は、漏水や火災などで緊急に対応が必要なとき、管理会社が管理組合の承認を待たずに対応し、あとで書面で報告する仕組みを定めています。連絡先は掲示板や入居時の案内で確かめておきましょう。
管理員に部屋の電球交換や宅配便の受け取りを頼めますか?
原則として頼めません。管理会社の管理対象は敷地と共用部分等で、専有部分の中の作業は管理員業務に含まれないのが標準的な形です。宅配便の預かりなども契約の別表に書かれていなければ対象外です。こうしたサービスを加える場合は、利用する人が費用を負担する形で、理事会から管理会社に相談します。
管理員が休みの日に代わりの人が来ないのはおかしいですか?
契約の定め次第です。標準管理委託契約書のコメントは、休暇の日数と、その際の対応(委託費の精算や他の勤務日での時間調整など)をあらかじめ示すことが望ましいとしています。契約書に書かれていない場合は、過去の実績を確かめたうえで、次の契約更新で代行の派遣か精算かを協議するとよいでしょう。
管理員の対応に不満があるとき、どこに言えばいいですか?
管理員本人ではなく、理事会か管理会社の担当者に伝えるのが基本です。管理員は管理会社の指揮で働いていて、業務範囲は契約で決まっています。日時や場面を具体的に記録して伝えると、改善につながりやすくなります。強い口調での直接の要求は、カスタマーハラスメントと受け取られるおそれがあります。
出典・参考資料
- 国土交通省|マンション標準管理委託契約書及び同コメント(令和7年12月12日改訂) ↗
- 国土交通省|令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(PDF) ↗
- 国土交通省|令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕(PDF) ↗
- 一般社団法人マンション管理業協会|「現場従業員の雇用の実態に関する調査」結果(平成30年3月、PDF) ↗
- e-Gov法令検索|マンションの管理の適正化の推進に関する法律 ↗
写真:Photo by Michel Catalisano on Unsplash
本ページは一般的な確認の視点を整理した編集部記事です。個別の建物・契約・法的判断の確認を代替しません。法令・規約・契約は最新の資料で確認してください。