マンション自治会とは?管理組合との違いと町内会費の扱い

マンション自治会は、管理組合と同じものだと思われがちです。国土交通省の標準管理規約コメントと総務省の資料をもとに、管理組合と自治会・町内会の違い、自治会費を管理費と一緒に集めるときの注意点を整理します。

まず押さえたいこと:管理組合は強制加入、自治会は任意加入

この記事の要点

  1. 01管理組合は区分所有者全員の強制加入、自治会は居住者の任意加入
  2. 02自治会費は管理費とは別のお金で、区分経理が求められる
  3. 03清掃・防災・地域との渉外は管理組合の業務として行える
  4. 04親睦目的の飲食などに管理費を充てるのは適切でないとされる
この記事の目次
夜、明かりのともる集合住宅の窓

マンション自治会とは?管理組合とは成り立ちが違う

マンション自治会とは、マンションの居住者が親睦や防災、地域との付き合いなどのために任意でつくる団体です。マンション単独で自治会をつくる場合もあれば、地域の町内会の一部(班や組)としてマンションの住民が加わる場合もあります。どちらも、区分所有者全員が当然に加わる管理組合とは、成り立ちがまったく違います。

国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年改正)のコメントは、管理組合は区分所有法第3条に基づき区分所有者全員で構成される強制加入の団体であり、居住者が任意に加入する地縁団体である自治会、町内会等とは異なる性格の団体だと明記しています。そのうえで、両者の活動を混同しないよう注意が必要だとしています。

自治会・町内会は全国に約30万

総務省の調査(令和6年3月公表、令和5年4月1日時点)では、市町村が把握している地縁団体は全国で295,838団体ありました。名称別では「自治会」が130,569団体(44.1%)、「町内会」が67,329団体(22.8%)、「町会」が17,882団体(6.0%)などです。呼び方は地域によって違いますが、マンション住民にとっての位置づけはほぼ同じと考えてよいでしょう。

295,838全国の地縁団体(自治会・町内会等)の数(総務省、令和5年4月1日時点)
44.1%名称が「自治会」の団体の割合(同)
強制加入管理組合は区分所有者全員で構成(区分所有法第3条)

管理組合と自治会の違いを5つの視点で比べる

管理組合と自治会の違いは、「誰が入るのか」「何のための団体か」「お金の性格」の3点で整理すると見通しがよくなります。

比べる点管理組合マンション自治会・町内会
根拠区分所有法第3条(区分所有者は全員で管理のための団体を構成)住民の任意の結成。法人格を得る場合は地方自治法第260条の2の認可
加入区分所有者は全員が構成員。脱退はできない任意加入。区分所有者でなくても、住んでいる賃借人も加われるのが一般的
目的建物・敷地・附属施設の管理住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理など地域の共同活動
お金管理費・修繕積立金(規約に基づき全員が負担)自治会費・町内会費(加入者が任意に負担)
決める場総会・理事会(管理規約に基づく)自治会の総会・役員会(自治会の規約に基づく)

賃貸で住む人は管理組合の組合員ではない

管理組合の構成員は区分所有者で、部屋を借りて住んでいる人は組合員ではありません。一方、自治会は「その地域に住む人」の団体なので、賃借人も加入できるのが一般的です。総務省が説明する認可地縁団体の要件でも、区域に住所を有するすべての個人が構成員になれることが条件の一つになっています。逆に、マンションを持っていても別の場所に住む区分所有者は、管理組合の組合員ではあっても、そのマンションの自治会の対象にはならないことがあります。

賃借人に及ぶのは「使い方のルール」

賃借人は管理組合の組合員ではありませんが、マンションのルールと無関係というわけではありません。区分所有法第46条第2項は、占有者(部屋を借りて住む人など)は、建物や敷地、附属施設の使用方法について、区分所有者が規約や集会の決議に基づいて負う義務と同じ義務を負うと定めています。ごみ出しや騒音、ペットなどの使用細則は、賃借人にも守ってもらう必要があります。

つまり、賃借人に対して「建物の使い方のルール」は管理組合の側から求められますが、「自治会への加入」は求められません。この線引きを理事会で共有しておくと、入居時の案内文や掲示物の書き方で迷わずに済みます。

自治会が法人になる「認可地縁団体」

自治会は通常、法人格のない団体ですが、地方自治法第260条の2に基づいて市町村長の認可を受けると、認可地縁団体として法人格を持ち、集会所などの不動産を団体名義で登記できます。総務省の資料によると、令和3年の法改正で、不動産を持たない団体も認可を受けられるようになりました。マンションの集会室は通常は共用部分なので、自治会の財産ではなく区分所有者の共有である点に注意が必要です。

マンション自治会の会費を管理費と一緒に集めるときの注意

管理組合と自治会の関係で最もトラブルになりやすいのが、お金です。管理費と一緒に自治会費を集めているマンションは珍しくありませんが、国土交通省はこのやり方に注意点を示しています。

平成28年改正で「コミュニティ形成」が規約から外れた

標準管理規約のコメントによると、平成28年の改正前までは、管理費の使途と管理組合の業務に「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が掲げられていました。しかし、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、管理組合と自治会を混同して自治会費を管理費と一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる対立・トラブルが生じていたことから、この項目は削除されました。

一方で、マンションやその周辺の美化・清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整など、経費に見合った資産価値の向上がもたらされる活動は、管理の範囲内で行われる限り管理組合として可能だと説明されています。現行の標準管理規約第32条第12号は、管理組合の業務として「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」を挙げ、第11号には「官公署、町内会等との渉外業務」もあります。

自治会費を管理費と一緒に集めるときの4つの留意点

コメントは、自治会費・町内会費は地域住民相互の親睦や福祉、助け合いなどのために居住者が任意に負担するもので、マンションを維持管理するための管理費等とは別のものだとしています。そのうえで、管理費等と一体で徴収している場合には次の点に留意すべきだとしています。

  • 自治会・町内会への加入を強制するものとならないようにすること
  • 加入を希望しない人から自治会費・町内会費を徴収しないこと
  • 自治会費・町内会費を管理費とは区分経理すること
  • 管理組合による自治会費・町内会費の代行徴収に係る負担について整理すること
注意コメントは、一部の人だけが対象のクラブやサークル活動の経費、主に親睦を目的とする飲食の経費などに、全員から強制的に集める管理費を充てることは適切ではないとしています。夏祭りの飲食費や自治会の慰労会を管理費から出している場合は、参加者の負担や自治会会計に切り替えることを検討してください。

自治会の活動を管理組合で引き継げるか

「管理組合と自治会を一本化したい」「自治会がなくなったので管理組合で引き継げないか」という相談はよくあります。役員のなり手不足が背景にあることが多く、気持ちは理解できますが、性格の違う団体を一つにまとめることには限界があります。

管理組合が引き継げること・引き継げないこと

活動の例管理組合で行う余地考え方
敷地や周辺の清掃・美化あり建物・敷地の管理や居住環境の維持向上に当たる
防災訓練・防災備品の備蓄あり第32条第12号の防災に関する業務に当たる
町内会との連絡・行政との調整あり第32条第11号の渉外業務に当たる
夏祭り・親睦会の飲食原則なし親睦が主目的の飲食に管理費を充てるのは適切でないとされる
地域の慶弔・寄付原則なし任意の団体である自治会の活動に当たる

標準管理規約のコメントは、管理組合の業務に当たらない活動でも、管理組合の役員などが個人の資格で参画することは可能だとしています。理事長がそのまま自治会長を兼ねるような運用は珍しくありませんが、その場合も会計と議事の記録は団体ごとに分けておくことが前提です。

防災は管理組合とマンション自治会が協力しやすい分野

管理組合と自治会の役割が重なりやすく、かつ協力の効果が大きいのが防災です。大きな地震や停電のとき、エレベーターが止まった高層階の高齢者の安否確認や、在宅避難のための備蓄は、マンションという建物単位で考える必要があります。一方、避難所の運営や地域の防災訓練は、町内会や自治体と連携して行われます。

国土交通省「令和5年度マンション総合調査」では、大規模災害への対応として「消防設備等の点検を実施している」管理組合が69.5%で最も多く、「定期的に防災訓練を実施している」は39.8%でした。総戸数の規模が大きいほど、何らかの対策をとっている割合が高い傾向もみられます。訓練まで手が回っていない管理組合も少なくないことがわかります。

防災で分担しやすいこと

  • 管理組合:共用部分の防災備品(発電機、簡易トイレ、救助用具など)の購入と保管、防災マニュアルの作成、居住者名簿や要配慮者情報の取り扱いルールづくり
  • 自治会・町内会:地域の避難所や防災訓練との連絡、近隣との助け合いの取り決め、回覧による情報共有
  • 両方で協力:マンション内の訓練の企画、フロアごとの安否確認の担当決め

同じ調査では、過去1年のトラブルとして「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が60.5%と最も多く、その内容では生活音が43.6%でした。生活ルールの調整は管理組合の業務として行える一方、日頃の顔の見える関係は自治会活動が支えている面もあります。どちらの団体のお金と責任で行うのかを決めたうえで、協力の形を探るのが現実的です。

自治会・町内会との関係を見直す手順

マンションに自治会がない、あるいは地域の町内会に加入していない場合でも、管理組合の運営自体には支障はありません。ただ、防災や地域の情報、ごみ集積所の運用など、地域とのつながりが必要な場面はあります。理事会で方針を整理するときの手順を示します。

  1. 現状を確かめる自治会・町内会の有無、加入方法(マンション一括か個別か)、会費の集め方、管理組合の会計との関係を書き出します。
  2. お金の流れを分けて見る管理費会計の中に自治会費の収入や自治会への支出が混ざっていないか、決算書と通帳で確かめます。
  3. 活動を仕分ける清掃・防災・渉外など管理組合で行える活動と、親睦・慶弔など自治会に残す活動に分けます。
  4. 代行徴収のルールを決める続ける場合は、非加入者から徴収しない仕組み、区分経理、事務負担の扱いを書面で取り決めます。
  5. 総会で説明する管理規約や予算に関わる変更は総会に諮り、住民向けのお知らせでも経緯を説明します。

理事会で確かめたい質問

  • 「自治会費は管理費と別の口座・別の帳簿で管理されていますか」
  • 「自治会に入っていない世帯から、自治会費を集めていませんか」
  • 「管理費から支出している行事費のうち、親睦目的の飲食はありませんか」
  • 「自治会費の集金や会計の事務を、管理会社が無償で行っていませんか。契約上の扱いはどうなっていますか」
  • 「地域の防災訓練や回覧の情報は、自治会に入っていない世帯にどう届いていますか」

管理組合の基本的な仕組みは管理組合とはと管理組合は何をしている?住民向けガイド、管理費の使い道は管理費・修繕積立金は何に使われる?で確認できます。マンション管理全体の考え方はマンション管理の基本にまとめています。

マンション自治会と管理組合の関係チェックリスト

確認する項目見ておきたいこと
自治会の有無と形マンション単独の自治会か、地域の町内会の班か
加入の方法全戸一括の扱いになっていないか、個別に意思確認しているか
会費の集め方管理費と一緒に口座振替しているか、別に集めているか
区分経理自治会費が管理費とは別の帳簿・口座で管理されているか
非加入者の扱い加入しない世帯から自治会費を集めていないか
管理費からの支出親睦目的の飲食やサークル活動に管理費を使っていないか
代行徴収の負担集金事務を誰がどの費用負担で行っているか
地域との窓口防災・ごみ・回覧などの情報を受け取る担当が決まっているか

チェックリストで「混ざっている」項目が見つかっても、すぐに不正というわけではありません。長年の慣行として続いてきたケースが多いため、まずは事実を整理し、総会で説明したうえで段階的に改めるのが現実的です。判断に迷う場合は、マンション管理士や自治体のマンション相談窓口に相談する方法もあります。

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よくある質問

マンションの自治会には必ず入らないといけませんか?

自治会・町内会は居住者が任意に加入する団体で、加入は義務ではありません。国土交通省の標準管理規約コメントも、自治会への加入を強制するものとならないよう求めています。一方、区分所有者は全員が管理組合の構成員で、管理費等の負担から外れることはできない点で、自治会とは扱いが違います。

管理組合と自治会の違いは何ですか?

管理組合は区分所有法第3条に基づき区分所有者全員で構成する、建物の管理のための団体です。自治会は地域の住民が任意で加入し、親睦や防災、地域の連絡を行う団体です。管理組合のお金は管理費・修繕積立金、自治会のお金は加入者が負担する自治会費で、性格が異なります。

管理費と一緒に自治会費を払っているのは問題ですか?

一緒に集めること自体が直ちに禁止されているわけではありません。ただし標準管理規約コメントは、加入を強制しないこと、加入を希望しない人から徴収しないこと、管理費と区分経理すること、代行徴収の負担を整理することに留意すべきだとしています。まず決算書で区分経理されているか確かめましょう。

マンションに自治会がないと困ることはありますか?

管理組合の運営には支障ありませんが、地域の防災情報やごみ集積所の運用など、町内会を通じて回ってくる情報が届きにくくなることがあります。管理組合は町内会等との渉外業務や防災に関する業務を行えるので、窓口役を決めて地域との連絡を保つ方法があります。

管理組合と自治会を統合することはできますか?

性格が違う団体なので、そのまま一つにするのは難しいと考えられます。清掃や防災、地域との連絡は管理組合の業務として引き継げますが、親睦が主目的の飲食や地域の慶弔などは管理費を充てるのに適さないとされています。活動を仕分け、必要なものは有志や個人の参加で続ける形が現実的です。

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出典・参考資料

写真:Photo by Julien on Unsplash

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