管理組合は何をしている?住民向けガイド

分譲マンションの部屋を持てば、誰もが自動的に管理組合の一員です。では、その管理組合は日々何をしていて、理事会や管理会社とはどう違うのか。国の調査データも交えながら、住民の目線で管理組合の仕事と関わり方を整理します。

まず押さえたいこと:管理組合は理事会ではなく、所有者全員のこと

この記事の要点

  1. 01部屋を持てば自動的に組合員。入退会の手続きはない
  2. 02大事なことは総会で決め、理事会はそれを実行する
  3. 03管理会社は委託先。決めるのはあくまで管理組合
  4. 04困りごとは記録を取り、組合の窓口に書面で伝える
この記事の目次
青空の下の大規模な集合住宅

「入った覚えはない」けれど、あなたも組合員

「管理組合に入った覚えはないんだけど」。そう感じている人も、分譲マンションの部屋を持っていれば、すでに組合員です。区分所有法は、区分所有者は全員で建物や敷地の管理を行うための団体を構成すると定めていて、この団体が一般に管理組合と呼ばれます。国交省のマンション標準管理規約でも、組合員の資格は区分所有者になったときに取得し、区分所有者でなくなったときに失うとしています。入会の申込みも、退会の手続きもありません。

区分所有者全員で構成する管理組合の中に、総会、理事会、監事、一般の組合員があり、外部の管理会社とは委託契約で結ばれ、賃借人や同居家族は規約を守り総会で意見を述べられることを示す関係図
管理組合・理事会・管理会社の関係(区分所有法第3条、マンション標準管理規約 令和7年10月改正をもとに作成)

管理組合と理事会は、同じものではない

「管理組合の人」と言うと、理事長や理事の顔を思い浮かべがちです。けれど理事会は、総会で選ばれた役員が集まって、総会で決めたことを実行し、日常の判断をする機関にすぎません。予算や決算、規約の変更、大規模修繕の実施といった大事なことは、組合員全員で構成する総会で決めます。理事でない人も、総会の一員として意思決定に加わっている、というのが本来の姿です。

もう一つ混同されやすいのが管理会社です。管理会社は、管理組合と委託契約を結んで、会計や清掃、設備点検などを代行する外部の会社です。建物の持ち主でも、決定権を持つ立場でもありません。基本の仕組みは管理組合とは?の記事でも整理しています。

組合の動き方を決めているのは管理規約

管理組合が何をどう決めるかは、各マンションの管理規約に書かれています。令和5年度の調査では、管理規約がある管理組合は94.7%、これまでに規約を改正したことがある組合は91.0%でした。区分所有者の84.8%は自分のマンションの規約を認知しており、購入時に規約を読んだ人も79.3%います。一方、国がひな形として示す標準管理規約については「全く知らない」が30.1%でした。自分の規約が標準管理規約とどこが違うかまで知っておく必要はありませんが、手元にあるかどうかは確かめておきたいところです。

管理組合の仕事を、暮らしの目線で4つに分ける

管理組合の仕事は、標準管理規約の第32条に列挙されています。条文をそのまま読むと堅苦しいので、住民の暮らしに引き寄せて4つに分けてみます。

分野具体的な仕事住民が目にする場面
建物を守る共用部分の保守・清掃・修繕、長期修繕計画の作成と見直し、設計図書や修繕履歴の保管点検の掲示、大規模修繕の説明会
お金を管理する管理費等の徴収、予算・決算、修繕積立金の運用、損害保険の手配毎月の引き落とし、総会の決算報告
ルールをつくる規約や使用細則の制定・変更、共用部分の使い方の決定駐車場・駐輪場・ペットのルール
暮らしと安全防災、風紀・秩序の維持、町内会や行政との渉外、広報・連絡防災訓練、掲示板やお知らせの配布
建物内の駐輪場に並ぶ自転車
駐輪場の使い方のような身近なルールも、管理組合が決めている

国交省「令和5年度マンション総合調査」によると、使用細則や協定を定めている管理組合は88.5%でした。種類としては駐車場が81.8%で最も多く、専有部分の使用・居住が81.1%、自転車置場・バイク置場が72.9%、専有部分の修繕等が71.4%、ペット飼育が70.5%と続きます。ふだん「マンションのルール」と感じているものの多くは、管理組合が総会で決めたものなのです。

防災も管理組合の大事な仕事です。同じ調査で、大規模災害への備えとして「消防設備等の点検を実施している」は69.5%、「定期的に防災訓練を実施している」は39.8%でした。建築士や弁護士、マンション管理士などの専門家を活用している管理組合も41.4%あり、組合がすべてを自前でこなしているわけではないことも分かります。

管理会社に任せていること、組合が決めること

管理組合の多くは、日常業務を管理会社に委託しています。令和5年度の同調査では、管理状況に満足している区分所有者は61.3%で、その理由の最多は「マンション管理業者が良いので」(69.9%)でした。管理に疑問を持ったときの相談先も、「マンション管理業者」が71.2%と、理事長(または理事)の45.4%を上回っています。住民にとって、いちばん身近な窓口が管理会社であることがうかがえます。

一方で、区分所有者のうち管理委託契約の内容を「よく知っている」「だいたい知っている」と答えた人は、合わせて29.8%にとどまりました。管理会社に何を任せていて、何を任せていないのかを知らないまま、「管理会社がやってくれるはず」と考えてしまうと、責任の所在があいまいになります。

場面管理会社がすること(委託の範囲内で)管理組合が決めること
大規模修繕資料の準備、業者との連絡、説明会の手配工事の実施、工事内容、施工会社、予算
管理費の改定収支の試算、議案書の作成補助改定するか、いくらにするか
ルール違反への対応注意文の掲示、事実関係の確認規約・細則の解釈、是正の求め方
管理委託契約契約内容と費用の提示契約するか、更新するか、見直すか
管理会社が管理者を兼ねる場合理事会を置かず、管理会社などの外部の者が管理者(組合の代表)になる方式もあります。2025年に成立したマンション関係法の改正では、管理業者が管理者を兼ね、工事などの発注者と受注者の立場を兼ねるような場合について、利益相反のおそれがあるとして区分所有者への事前説明を義務づける仕組みが設けられました。自分のマンションがこの方式なら、説明の内容に注意を向けてください。

管理会社の業務範囲の詳細は、管理会社に任せること、管理組合で決めることの記事で扱っています。

理事会の現場では、担い手の高齢化が進んでいる

理事会の開き方はマンションによってさまざまです。令和5年度の調査では、「月に1回程度」が35.7%で最も多く、「2か月に1回程度」が27.3%でした。理事は総会で組合員の中から選ばれ、会計担当や理事長は理事の互選で決めるのが標準管理規約の形です。

25.9%世帯主が70歳以上の割合(令和5年度、前回から3.7ポイント増)
55.9%昭和59年以前に完成したマンションで世帯主が70歳以上の割合
34.6%外部の専門家を役員に選ぶことを検討中、または将来必要なら検討したい管理組合

役員の担い手は、全国的な課題になっています。外部役員を検討する理由としては、区分所有者の高齢化(42.7%)と役員のなり手不足(42.3%)がほぼ並びました。管理組合運営の将来への不安でも、「区分所有者の高齢化」が57.6%で最多です。理事会が少人数で回っている、同じ人が何期も続けている、といった状況は、どこのマンションでも起こり得ます。

監事と名簿が、組合の土台を支える

理事会のほかに、会計や業務の執行をチェックする監事が置かれます。決算は監事の監査を経て総会に報告され、承認されるのが標準管理規約の流れです。また、組合員名簿を整備している管理組合は86.0%でした。名簿は総会の案内や緊急時の連絡に使われるため、所有者が変わったときや連絡先が変わったときの届出が欠かせません。

理事でない人の「小さな参加」が効く

理事を引き受けられなくても、理事会の負担を減らす関わり方はあります。アンケートに期限内に答える、総会の議決権行使書を必ず出す、共用部分の不具合に気づいたら連絡する。こうした一つひとつが、少人数で回している理事会には大きな助けになります。順番が回ってきたときの準備は、理事・修繕委員になったら知りたい役割の記事が参考になります。

生活音や駐輪場の困りごとは、どう伝える?

管理組合は、住民どうしの困りごとの窓口にもなります。令和5年度の調査で過去1年間に起きたトラブルを見ると、「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が60.5%と最も多く、内訳は生活音が43.6%、違法駐車が18.2%、ペット飼育が14.2%でした。建物の不具合(31.7%)や費用負担(24.2%)をめぐるものより多いのが実情です。

  1. 規約と使用細則を確かめるそもそもルールで禁止されていることなのか、決まりがないことなのかで、相談の仕方が変わります。
  2. 事実を記録する日時、場所、どんな状況だったかをメモしておきます。推測や相手の人柄に関する評価は書かないほうが、話が進みやすくなります。
  3. 管理会社か理事会の窓口に伝えるできれば書面やメールなど、記録に残る形で。「状況・影響・希望」の3点に分けて書くと、共通の課題として扱ってもらいやすくなります。
  4. 対応を待ち、結果を確認する注意文の掲示で済むこともあれば、理事会で細則の見直しを検討することもあります。
直接の注意は慎重に当事者どうしで直接注意すると、感情的な対立に発展することがあります。まずは組合の窓口を通すのが基本です。緊急の危険がある場合は、管理会社の緊急連絡先や、必要に応じて警察・消防に連絡してください。

理事にならなくてもできる、6つの関わり方

管理組合への関わり方には段階があります。いきなり理事になる必要はなく、自分にできるところから始めれば十分です。

  • 掲示板と配布物に目を通す(点検日、工事、総会の予定)
  • 総会の案内が来たら、議案書の「今年だけの議案」を読む
  • 議決権行使書か委任状を、期限内に必ず出す
  • アンケートや意見募集に答える
  • 共用部分の不具合や危険に気づいたら、窓口に伝える
  • 修繕委員会や防災の担当など、期間限定の役割に手を挙げる

意見を出すときは、総会の場だけが機会ではありません。理事会の議事録やお知らせを読んで気になる点があれば、窓口を通じて理事会に意見を届けられます。「こうしてほしい」という要望に、理由と自分が協力できることを添えると、理事会も検討しやすくなります。反対に、掲示板への匿名の張り紙や、特定の役員への個人的な批判は、議論を前に進めることにはつながりにくいものです。

令和5年度の調査では、専門委員会を設けている管理組合のうち86.7%が大規模修繕や長期修繕計画に関する委員会でした。建築や設備、会計の仕事をしている人の知識は、こうした委員会で大いに役立ちます。総会への出席や議決権の使い方は総会・議決権の基本の記事で、毎月のお金の使われ方は管理費・修繕積立金の記事で詳しく説明しています。

自分のマンションの管理組合について確認したいこと

運営の形理事会があるか、外部の管理者を置く方式か
役員理事長と理事の人数、任期、選び方(輪番・立候補など)
管理会社委託先の会社名と、委託している業務の範囲
窓口不具合や困りごとを伝える連絡先と方法(書面・メール)
ルール使用細則の種類(駐車場・駐輪場・ペット・リフォームなど)
総会開催時期、案内の届き方、議事録の確認方法
専門委員会修繕委員会や防災の担当があるか、参加できるか
緊急時夜間・休日の緊急連絡先と、防災訓練の有無

これらの多くは、管理規約、使用細則、直近の総会議案書と議事録、管理会社の案内でわかります。見つからないものは管理会社の窓口に尋ねれば案内してもらえるはずです。一度まとめておくと、困ったときに誰に何を伝えればよいかで迷わなくなります。

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よくある質問

管理組合のことは理事に任せておけばいいですか?

日常の判断は理事会に任せられますが、予算、値上げ、大規模修繕、規約の変更などは総会で組合員全員が決めます。理事でなくても、議案を読み、議決権を使うことが管理組合への参加の基本です。期限内に議決権行使書を出すだけでも、組合の運営を支えることになります。

管理組合から抜けることはできますか?

できません。区分所有法により、区分所有者は全員で管理のための団体を構成するため、部屋を持っている限り組合員です。組合員でなくなるのは、売却などで区分所有者でなくなったときです。役員を引き受けるかどうかは、規約の定めや事情によって相談の余地があります。

管理会社の対応に不満があるときは?

管理会社は管理組合と委託契約を結んでいる相手なので、不満は理事会に伝えるのが筋です。対応の日時や内容を具体的に記録し、契約で定められた業務かどうかを確認してもらいます。改善が見られなければ、契約更新の際に見直しを総会で議論することになります。

管理組合のお金は、誰がチェックしていますか?

標準管理規約の仕組みでは、会計担当の理事が会計を担い、監事が会計と業務の執行状況を監査し、その結果を総会に報告します。決算は総会で組合員の承認を受けます。住民は総会資料の決算書と監査報告を読み、疑問があれば質問できます。会計帳簿は、書面で請求して閲覧することもできます。

賃貸で住んでいますが、管理組合と関係ありますか?

組合員ではありませんが、規約や使用細則を守る義務があります。標準管理規約では、部屋を貸す所有者は借主にルールを守らせ、誓約書を組合に出させるとしています。困りごとは管理会社の窓口に相談でき、利害関係のある議題なら、事前に通知して総会で意見を述べることもできます。

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出典・参考資料

写真:Photo by taro ohtani on Unsplash、Photo by Yeh Xintong on Unsplash

本ページは一般的な確認の視点を整理した編集部記事です。個別の建物・契約・法的判断の確認を代替しません。法令・規約・契約は最新の資料で確認してください。